裁判例コンメンタール刑法

裁判例コンメンタール刑法 第1巻

裁判例コンメンタール刑法 第1巻

早速、購入して、ぱらぱらと読んでみましたが、「裁判例」を中心としたコンメンタールになっていて、研究者と実務家が適度に分担執筆しているようです。全3巻で、今後、残りの2巻が順次出るようで、分量も、見ていてうんざりしない範囲内でおさまっていて、評価できると思います。
法科大学院生・司法試験受験生が手元に置いて必要に応じて読んでみたり、実務家が手近に置いて生じた問題に応じて確認したり、といった使い方をするのに適していると言えるでしょう。
特に、法科大学院生・司法試験受験生は、予備校が出したテキストばかり読んでいると、段々と頭が馬鹿になってくる恐れがあるので、こういった本を、全部は無理にしても一部でもじっくり読んでみる、という勉強もしたほうがよいでしょう。
昔、三省堂から「判例コンメンタール」というシリーズが出ていましたが、あれは、裁判例が羅列されていて、読みにくく、その点、こちらのほうが読みやすく工夫されているという印象です。
私が実務家になった当時(平成元年)は、刑法のコンメンタールといえば、有斐閣から出ている注釈刑法で、手元に置いてよく読んでいたものでしたが、その後、大コンメンタール刑法が出て、内容が新しく、また詳細なので、それを使用することが多くなりました。
内容の詳しさでは、やはり、大コンメンタール刑法が今でも優れていると思いますが、上記のような利点があるので、今後は、裁判例コンメンタール刑法も併用されて行くと思います。