愛媛県警、GPS情報端末を参考人の車に無断で設置

http://www.asahi.com/national/update/0411/OSK200604100083.html

この文書は「行動確認報告書」。1980年代に同県内で起きた殺人事件に関するもので、計4通あり、作成日はいずれも02年6月。5日付の報告書によると、県警の捜査員が午前9時ごろ、女性の自宅を訪問。車がなかったため、大手警備会社の位置情報提供サービスの携帯端末で、近くのスーパーの駐車場にあることを確認し、その後は捜査員が尾行した、と書かれている。
9日付の報告書でも、女性が高速道路のインターチェンジの料金所そばに駐車していることを端末で確かめ、捜査員が現地で確認。車に取り付けた端末を充電のために取り外し、2時間半後に取り付けたと記していた。22、29日付の報告書でも病院と喫茶店にある車を確かめたとしている。

「任意捜査の限界」という、刑事訴訟法上の論点に関わる問題をはらんでいます。
従来、警察が、張り込み、尾行といった方法により捜査対象者の行動を調査することは行われてきており、外部に現れた人や車の行動状況を、捜査の必要から、目で見て確認して行くことを、直ちに違法とは言えないと思います。
ただ、無断で他人の車に機器まで設置する、ということになると、プライバシーに関する調査の密度が格段に高まり、「無断設置」という点も相俟って、是認されるためには、通常よりは高い捜査の必要性、緊急性を要し、そうでなければ違法、という考え方も十分成り立ちうると思います。
この種の捜査の適法性を判断する際には、必要性、相当性、緊急性、といった要件により判断すべき場合が多いと思いますが、相当性に問題がある以上、ある程度高い必要性や緊急性が認められなければ、違法捜査の疑いは残ると言うべきでしょう。
愛媛県警におけるウイニーによる情報流出問題は、なかなか知ることができない警察捜査の実態を白日の下にさらし、刑事手続に関する新たな論点も提供しつつあって、その意味でも、歴史的な不祥事と言えるかもしれません。