内調「機密流出の恐れ」、首相に届かず…領事館員自殺

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060411-00000001-yom-pol

特に報告書が不自然だと指摘しているのが、〈1〉自殺した館員が、「公安の隊長」と初めて接触した03年12月から、自殺する04年5月までの経緯が詳細に記されている中、同年2月からの約1か月間分だけが、接触の日時や回数を「自分でも分からない」などとあいまいになっている〈2〉同僚への遺書には「総領事には例のナンバーは言っていない」といった文言があり、総領事あての遺書に真実がすべて書かれていない可能性がある――といった点。
総領事や同僚への遺書などには、「日本を売らない限り私は出国できそうにありません」など情報漏えいを否定する記述があり、報告書は「意図的な漏えいがあったと断定はできない」としている。しかし、館員が暗号コードなどを扱う「電信官」の立場だったことから、「館員が日常的に触れていた機密情報について、相手との一般的な会話の中で漏れた可能性もあり、再度、徹底調査する必要がある」と結論付けている。

このニュースを読んで、何となくもやもやとしていた点が、かなりクリアになったような気がしたのですが(私自身、そこまで見通せていなかったという面もありますが)、中国における不適切な交遊関係があったにせよ、脅された、でも国を売りたくない、という、公表されている遺書の内容程度で自殺する、というのは、心理的に追い込まれていたとしても、やや飛躍があると思います。
いろいろなやり取りの中で、必ずしも意図的ではないとしても、漏えいさせてしまった情報があって、そこをさらに弱みとして握られ、進退窮まり、自責の念も募って自殺に至った、ということになると、自殺という極めて重大な選択をした理由も理解できます。
内閣情報調査室は、さすがに情報のプロだけあって、分析すべきところを分析しているな、と思いました。
しかし、この報告について、きちんと対処された形跡がないことは、非常に大きな問題でしょう。
暗号解読により、一式陸攻で移動中の山本五十六連合艦隊司令長官が攻撃され戦死した後、海軍による調査が不徹底で、暗号が解読されていることが究明されず、その後も同様の事態が続いたことを思い出しました。