宮崎勤被告に死刑 連続幼女殺害事件で最高裁が上告棄却

http://www.asahi.com/national/update/0117/TKY200601170259.html

社会を震撼させた凶悪・重大事件に対し、遂に最高裁判決が出たことに、感慨を覚えます。

まず、90年から6人の医師による鑑定が行われた。1年半かけ、「人格障害によるもので、病気ではない」と結論づけた。のちに一、二審判決が依拠したのはこの最初の鑑定だった。
2度目の鑑定は弁護側の要請で、92年から3人の医師により行われた。うち2人は「多重人格など解離症を主体とする反応性精神病で、責任能力は限定的」と判定。(1)被告本人(2)衝動的な殺人者(3)冷静な人物(4)犯行声明を送った「今田勇子」――の4人格があると分析した。
もう1人は「統合失調症心神耗弱にあたる」と判断。「高校卒業後に潜在的に発症し、性的欲求と収集欲求から犯行に及んだ」とした。しかし、こうした2回目の鑑定結果はいずれも採用されなかった。

一般的に、初期の鑑定のほうが、犯行時の精神状態を解明する上では、より適切である場合が多いということは言えると思います。犯行時に、時期的に近いほうが、より良い、ということです。その意味では、起訴前に行われることが多い「簡易鑑定」は、「簡易」という限界はあるものの、適切に運用すれば、かなり参考になる内容が得られる可能性が高いと言えます。
また、簡易鑑定による限界が感じられれば、検察庁は、起訴前であっても、適切な鑑定人による本鑑定実施を検討すべきでしょう。
以前は、簡易鑑定で責任能力の「存在」が見極められれば、あとは公判で解明すればよい、という考え方に基づいて起訴する傾向がありましたが、より正確な鑑定結果の確保、という観点からは、問題なしとしない、と思いますし、最近は、徐々に、起訴前でも必要があれば本鑑定を実施する傾向にあるのではないかと私は見ています。