警視庁など捜査本部設置へ 詐欺容疑も視野 耐震偽装

http://www.asahi.com/national/update/1202/TKY200512020389.html

警視庁は全容を解明するためには建築主や施工者などから幅広く事情を聴く必要があると判断。告発容疑となる建築基準法違反に加え、刑法の詐欺や文書偽造容疑なども視野に入れて調べを進める方針だ。

刑法では、作成名義を偽る形態以外の文書偽造(内容を偽る)について限定的にしか処罰していないので、この件で文書偽造により刑事責任を問うのは、ちょっと難しいかな、という印象ですね。そもそも、文書偽造という形式犯で終わらせるような事件ではないでしょう。
詐欺というのも1つの考え方ですが、これだけ莫大な損害が発生している状況の中で、詐欺構成をとると、財産上の「被害」が、建築士が受け取った報酬程度に限定されてしまう可能性が高いと思われ、事件の捉え方として、いかにも寂しい気がします。
私は、背任という構成を推奨していますが、この事件の実態や、財産上の被害を的確に犯罪事実に反映させるという観点からは、やはり背任構成が適当ではないかと考えているところです。

「構造計算書偽造」事件の擬律
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20051126#1132933600

問題の建築士が、年内に逮捕か、という報道も一部にあるようですが、擬律の問題だけでなく、基礎捜査にそれなりの時間がかかるはずですから、年内逮捕はないでしょう。
年内に、関係場所への大規模な捜索・差押を実施して証拠書類・証拠物を網羅的に押収し、その後、分析する中で擬律も確定し、身柄(建築士だけでなく、共犯関係が疑われる者も含まれるでしょう)をとるのは、早くて来年1月から2月、場合によっては捜査機関(特に検察庁)の人事異動が終わった後の来年4月以降になるかもしれません。