ゴーン容疑者再逮捕1週間、自白迫る特捜部に強気の反論(産経新聞) - Yahoo!ニュース
報酬に関する新たな文書を次々に示して自白を迫る特捜部に対し、ゴーン容疑者は「報酬額決定の手続きには瑕疵(かし)があり無効」との主張も展開し始め、両者の対立は先鋭化している。
元検事の落合洋司弁護士は「希望額を書いただけだと未確定だが、もらえる前提で協議したのであれば確定する方向に傾く。評価が分かれるところだが、文書の作成経緯や関係者との協議内容などによって決まってくるのではないか」と話した。
いろいろな人々が「参戦」して、有罪方向、無罪方向で論じていますが、そもそも、私を含め証拠を見ておらず関係者の供述をきちんと聞いているわけでもないので、有罪、無罪、いずれの決め付けも難しいと言うしかありません。この事件について、現時点で決め付けた主張には、まゆに唾をつけて聞いておいたほうが良いでしょう。
当面の焦点は、
・再逮捕後の勾留満期に勾留延長するか
・金融商品取引法以外の余罪(特別背任、業務上横領等)で立件されるか
・余罪の立件がない場合、保釈はどうなるか
ではないかと思います。
勾留延長については、諸外国からも「身柄拘束引き延ばし」という強い批判が浴びせられており、官邸あたりからも何らや天の声が出ている可能性もあって、既に前の5年分の同種事件では起訴ができているわけですから、延長せずの追起訴もあり得なくはないでしょう。10日ではなく5日程度延長して追起訴ということも、可能性としてはあると思います。
余罪で立件は、捜査状況次第としか言いようがありませんが、最近の報道を見ていると、「難しいのでは」という、検察幹部の非公式なコメントを踏まえたような記事も出てきています。公私混同、経費流用といった事実があったとしても、それが刑事事件として立件できるかどうかは別問題であり、立件に馴染むものを見出せないでいるという可能性はありそうです。
余罪での立件断念となった場合、年内で捜査は終結するわけで、保釈をどうするかが問題になります。通常は、特捜部起訴のこういった否認事件で、裁判所はすぐには保釈は出さず、公判や公判前整理手続の進捗を見つつ、保釈のタイミングを見はからうものです。
今年3月に起訴された、リニア談合事件の否認組被告人が、今年11月の段階でまだ保釈されていないと報じられていましたが、そういう前例を踏襲すると、ゴーン被告らも少なくとも来年半ばくらいまでは保釈で出られないでしょう。
ただ、そういった保釈の在り方についても、特に諸外国から強い批判が出ており、批判が、日本がその外圧には弱い「欧米」からのものですから、かつて、田中角栄元首相が起訴直後に保釈されたように、例外的な扱いで保釈が認められるということも、あり得なくはないような気がします。その場合、かなり高額な保釈金(10億円とか)を積ませて、年内、あるいは年明け早々の保釈ということも、一応、視野に入れておく必要がありそうです。
年末の官庁御用納めまで数日残しての追起訴であれば、年内保釈ということも可能になってきますから、もし、そのような追起訴となった場合は、その可能性が高まりつつあると見ておくべきでしょう。