サイバー取り締まり法案 通信の秘密守れるか

http://www.asahi.com/national/update/0719/TKY200507190060.html

国会で審議中の法案について、問題点がわかりやすく指摘されていると思います。
ただ、私自身は、国際的な広がりを持つ、この種犯罪の取締りのためには、今回の法案は必要であり、内容もやむをえない範囲にとどまっているのではないかという印象を持っています。
この記事でも、法案と令状主義の抵触の有無が問題になっていますが、令状主義を最後に担保するのは裁判所であり、より現実的には担当裁判官でしょう。いくら法律の形を整えても、そこがでたらめでは、人権は守られないと思いますし、裁判所、裁判官が事件をきちんと見て、出すべき令状は出し、出すべきではない令状は毅然として出さない、ということが的確に行われれば、捜査の暴走は抑えられ無辜の処罰といった事態は避けられるはずです。
現状の問題点は、この法案が、と言うよりも、捜査の機能が肥大化し、裁判所の令状発付機能が、相当程度、形式化、形骸化してしまって、実質的には裁判官も兼ねてしまった捜査機関に対し、審査機能が低下して、一種のお墨付きを与えているというところにあると私は感じています。
そもそも、任官後1年とか、2.3年しかたってない判事補程度に、令状をいじらせていること自体が、裁判所の令状に対する感覚を示していると言えるでしょう。
裁判員制度ばかりが注目されていますが、日本でも、アメリカの大陪審制度のような制度導入を検討して、捜査にも民意を反映させ、適正な捜査は強力に行うとともに、独善や暴走を監視し許さないという新たな仕組み作りも行われるべきであると思います。