総務省消防庁「位置情報で各社と協議へ」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130522/k10014763951000.html

ことし3月、猛吹雪に襲われた北海道湧別町で父親が娘を抱いたまま亡くなった事故で、消防が親子を捜索していた際に、父親が持っていた携帯電話から居場所を把握しようとしたものの携帯電話会社との間で情報提供の取り決めがなく、時間がかかりました。

携帯電話の位置情報を巡っては、警察は事件の捜査や行方不明者の捜索などの際に必要だとして、以前から携帯電話各社と一定の取り決めを行い、提供を受けています。一方、消防に対しては、NTTドコモとソフトバンクモバイルは、これまで個人情報保護の観点から本人からの通報の場合を除くと、携帯電話の位置情報を提供していなかったということですが、総務省の要請を受け、今後は緊急性などを判断したうえで位置情報の照会に応じるとしています。
またKDDIは、これまでも親族の同意があれば消防に位置情報を提供することはできたとしており、今後も必要に応じて提供するとしています。

犯罪捜査であれば裁判所の令状に基づいて差し押さえるということも可能ですが、遭難のようなケースは、犯罪が問題になっているわけではないので令状に基づいて、ということができません。警察と携帯キャリアの取り決めがどのようなものかはわかりませんが、事案の内容や緊急性、必要性に応じ、この場合は令状、とか、この場合は親族の同意も得た上で捜査照会で、といったことを決めているのでしょう。消防当局との間で、そういった取り決めが行われていなかったのは、上記の遭難事故における救助の上で悔いが残ることでした。
こういった緊急性が高い、令状の対象にはならないケースで、人や組織の持つ情報を緊急に入手するために、裁判所で緊急命令(令状に準じた)が出せる制度を導入する、ということも、検討されるべきではないかと思います。