隠しカメラ「人権配慮全くなかった」 大分県警本部長、県議会で謝罪

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160914-00010005-nishinp-soci

本部長は「捜査に当たっては人権の尊重に留意するよう指導してきたが、全く配慮がなかった」と答弁し、改めて謝罪した。

この問題の背景には、刑事訴訟法判例で、令状に基づかないと行えない強制捜査と、令状がなくても行える純然たる任意捜査の間に、他人の権利を制約し侵害の恐れもあるものの令状に基づかなくても違法ではないグレーゾーンを許容ししてしまっていることがあると思います。そういった手法が有形力を伴う場合は、「強制に渡らない実力」と言われることもあります。
科学技術が進歩し、最近ではGPSを使用した追跡捜査の適法性も問題になっていますが、そういった捜査も警察当局は令状に基づいて行うことは基本的になく、上記のようなグレーゾーンの中での、適法な捜査と位置付けようとしています。しかし、これについては適法、違法、両方の裁判例が出ている状態です。
従来、グレーゾーンの中で適法性が曖昧であったものを、総合的に整理して、令状に基づくべきものは令状に基づくことにしつつ、無令状では許されないものは厳格に臨んでいかないと、捜査権力が密行状態で暴走して知られることもなく人権を侵害するケースが激増しかねないでしょう。必要な捜査は正面から認めつつ令状を要するようにする、きちんと司法審査を及ぼしていくことを、基本に立ち戻って考えなければならないと思います。そして、その場合の司法審査は、現在の令状実務のように多分に形骸化した、捜査の必要性を追認していくようなものではなく、実質的な審査が行われるようなものでなければならないと思います。