http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140801/trl14080115240002-n1.htm
判決によると、男性は昨年10月、東京都新宿区で警視庁四谷署の警察官から職務質問を受けた。警察官は捜索差し押さえ令状が出る前に、男性が乗っていた車内のウエットティッシュの箱を勝手に開け、抗議を受けても返さなかった。箱から覚醒剤などが見つかり、男性は現行犯逮捕された。
西山志帆裁判官は「警察官の令状主義への無理解は甚だしい。今後の違法捜査を抑制するために、無罪を言い渡すほかない」と述べた。弁護人によると、警察官は公判で「箱の中身を取り出そうとすれば、観念すると思った」と証言したという。
私は、検察庁を辞める前の5か月間、千葉地検で麻薬係検事をやって、連日、薬物事件ばかりやっていましたが、身柄付きで送致があった薬物事件で、このパターンの無令状捜索型のものがあって、記録を読んでいるとそれがわかったので、勾留請求せずに釈放したことがあったのを、上記の記事を読んで思い出しました。警察は不満そうでしたが、説明すると納得していて、今後注意しますと言っていたように記憶しています。
上記の記事の事件で、捜査した検察官は何を見ていたのか、実に疑問です。薬物事件では、警察の捜査手続に問題があることがよくあり、そこは、警察内部でも対検察庁でも隠蔽しようとする傾向も強いので、被疑者は嘘ばかり言うと決めつけず、どういうことがあったのか被疑者にもよく聞いて(手続面については、むしろ被疑者の話が信用できることが多いです)、適法性に問題がある事件をうまくフィルタリングしてドロップしないと、何のために検察庁があるのか、存在意義、価値が問われるでしょう。