防衛庁官舎で「派兵反対」のビラ、3被告に無罪判決

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20041216it08.htm

長谷川憲一裁判長は「結果と手段が平穏な生活を侵害したとは言い切れず、プライバシー侵害の程度は低い」として、無罪(求刑・懲役6月)を言い渡した。

これだけでは無罪理由がわかりかねますが、刑事法の世界では、「可罰的違法性」という考え方があり、処罰に値するだけの違法性(可罰的違法性)がない、として、無罪になったのかもしれません。
住居侵入罪の成否については、住居の平穏を害したかどうかを基準にする考え方(どちらかというと実質説)と、管理者の意思に反したかどうかを基準にする考え方(どちらかというと形式説)があり、後者が判例のはずです。検察庁も、後者の考え方に立って起訴したのでしょう。
後者の考え方に立つと、「管理者の意思に反した立ち入り」行為があれば、犯罪成立とされやすい面があります。
しかし、後者の考え方に立っても、違法性のレベルで、「管理者の意思には反しているが可罰的違法性がない」として、無罪になる余地はあるでしょう。
前者の考え方から無罪になった可能性があり(記事の内容ではそういう印象を受けます)、また、別の可能性として、「管理者の意思に反しているという認識、認容がなかった」、つまり、犯罪の故意がなかった、として、無罪になった可能性もあると思います。
判決の内容を是非見てみたいと思います。

追記

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=main&NWID=2004121601001528

東京地裁八王子支部の長谷川憲一裁判長は16日「刑罰に値する違法性はない」として、懲役6月の求刑に対し無罪を言い渡した。
 判決理由で長谷川裁判長は「ビラの投かんは、憲法21条の保障する政治的表現活動であり、いきなり検挙し刑事責任を問うことは、憲法の趣旨に照らし疑問」と述べた。

この記事から見ると、可罰的違法性の問題とされている印象を受けます。