私が司法試験に合格するまで(その1)

ロースクールについて、このブログで取り上げたところ、予想以上の反響で驚いていますし、私自身も、この問題については引き続き考えて行きたいと思っているところです。
インターネットで、HPやブログ、掲示板を見たりしているうちに、私自身の受験時代のことも思い出されてきたので、何回かに分けて、当時のことを思い出しつつ書いてみたいと思います。
私が早稲田大学法学部に入学したのは、昭和58年でした。司法試験受験は入学の時点から考えていたので、入学後、すぐに早稲田大学の法職課程(学校が、正規の講義以外で司法試験等の受験準備のため運営している機関です)に登録し、まず、憲法民法、刑法から勉強を開始しました。
1年生から2年生にかけての勉強は、概ね、次のようなものでした。
1 憲法
 確か、記憶では1年生の時から学部で憲法の講義があったと思いますが、おもしろくなさそうだったので、佐藤幸治憲法」を読み始めるが、あまりの難しさに閉口。たまたま、辰巳法律研究所で、内野正幸先生(現在は中央大学法科大学院におられるようですが当時は筑波大学)が講義を行われたテープが、所属するサークル(「緑法会」という法学部内で当時最大だった受験生の集まり)にあったので、それを借りて、聞きながら佐藤憲法を読む。内野先生の講義が、分析的でわかりやすく、難解な佐藤憲法が次第に理解できるようになる(そのためか、3年生の時に受けた論文では、憲法だけがA評価)。
2 民法
 入学後、すぐに所属した緑法会で、2年生が1年生に教える方法の自主ゼミが組まれ、そこで勉強を始める。いわゆる「ダットサン」を使用していたが、我妻民法を読んでみたり、当時、早稲田司法試験セミナーから出ていた「択一受験講座」を読んだりと、いろいろなものを読みながらの勉強。民法は量が多く、また、今ひとつ好きになれず、あまり勉強が進まない、という感覚のまま推移。

なお、「ダットサン」は、最近、復刊されています。

民法〈1〉総則・物権法
民法〈2〉債権法
民法〈3〉親族法・相続法

3 刑法
 大塚仁「刑法総論概説」を読みながら、法職課程で、中野次雄先生(元大阪高裁長官、元早稲田大学客員教授)の講義に出席。難しいと感じつつも、中野先生の話がおもしろく、刑法というものに非常に興味を感じる。

 こういった勉強をする中で、特に役だったのは、1年生の秋に、その年の最終合格者が出て、法職課程で行われた合格者ゼミでした。出席したのは刑法のゼミでしたが、現在、地検の次席検事を務められるほどになってご活躍中の某先生が、大塚説に基づいて、特に総論について、非常にわかりやすい説明をされ、刑法総論の理解がかなり深くなりました。また、その後は、別の合格者が司法修習生になった後に講師をして下さっていた自主ゼミに入れてもらい、手形小切手法なども勉強でき、非常に勉強になりました。
 やはり、早稲田のような、多くの合格者が出る大学で学ぶメリットというのは、合格者と接する機会が多く、勉強できるということだったと、今になっても思います。私の場合、幸運もあり、大学4年生の時に司法試験に最終合格することができましたが、勉強していた環境ということが、早期合格と切っても切れない関係にあったと思います。

(続く)