ミャンマー国軍トップ、クーデター正当化 国民へ初声明

ミャンマー国軍トップ、クーデター正当化 国民へ初声明(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

声明は、軍が法律に従って行動していると繰り返し強調。総選挙をやり直すことにも言及し、「国民全体が軍と協力して、公正な方法で規律のある民主主義体制を確立する必要がある」と呼びかけた。

 一昨年、初めてミャンマーへ行き、アウンサンスーチー氏の御尊父であるアウンサン将軍ゆかりの地などを見学しつつ、ついてくれたガイドらといろいろ話し、また、行った後に何冊かミャンマー関連の本も読みました。今は、

ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相 (中公新書 2629)
 

を読み進めつつあります。

ミャンマーは、軍政が長く続きすぎ、 アジア諸国がめざましく発展する中で取り残され、民政化された後も軍が利権を握り、また、少数民族を多く抱え、ロヒンギャ問題もうまく対応できず、様々な行き詰まりを抱えているのが現状でしょう。アウンサンスーチー氏は国民の間で絶大な人気を得ていますが、所詮は軍との間の妥協に基づく制約された権力、カリスマに過ぎず、それが如実に現れたのがロヒンギャ問題への緩慢な対応で、国際的な支持は失墜してしまいました。そして出現したのが今回のクーデターでした。

欧米諸国がミャンマーを批判し、経済制裁を加えても、軍は中国との結びつきを強め、利権にしがみ続けるでしょう。そこに、今なお貧しい多くのミャンマー国民の利益保護の視点はありません。やっと明るい日が差し込みはじめたミャンマーが、再び闇の中へと逆戻りするのは大変に残念なことです。

日本は、戦時中、アウンサン将軍と協力しつつ、傀儡的だったとはいえ英国から独立した政権樹立に協力した経緯があり、今なお、ミャンマー国民から好意を持たれている面があります。何より、日本の経済援助は、他の大国のそれとは異なり政治的な影響力樹立と切り離されている利点があり、その意味でもミャンマー国民にも好意的に迎えられているはずです。そういう日本の持てる利点を、今後のミャンマー民主化、発展に大いに役立ててほしいと願わずにはいられません。