5問でわかる「ロヒンギャ問題とは何か?」スーチー氏が直面する壁

 

 

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ちょっと前の記事だが、執筆者の書いたミャンマー史の本を、間もなく読み終えるところで、この記事を見つけ読んでみた。
ロヒンギャ問題の複雑性、困難性がよくわかるし、単に人権抑圧はやめましょうで片付く問題ではないこともよくわかる。
記事にもあるが、2008年成立のミャンマー憲法では、軍に対するシビリアンコントロールが効かない体制になっていて、アウンサンスーチーは軍をコントロールできない。明治憲法下の日本帝国軍隊は、軍政、軍令のうち、軍政については内閣のコントロールが効く建前だったが(統帥権独立が強調されそこも徐々に形骸化されたが)、ミャンマー憲法下の軍は、それ自体がシビリアンコントロールを受けない超憲法的存在になっている。また、アウンサンスーチーを支持する国民の多くもロヒンギャに対しては冷淡。その一方で、ロヒンギャ問題に関するミャンマー政府の対応には国際社会の批判が強い。
昨日のツアーガイドは、ロヒンギャ問題の影響で欧米からの観光客が減り、知人のフランス語ガイドは仕事がなくなり困っていると言っていた。そういう影響も出ている。
先日もスリランカイスラム系とされるテロが起きたが、ロヒンギャ問題も、うまくソフトランディングさせないと、そういったテロの温床となり、ミャンマーの治安に重大な影響を及ぼしかねないだろう。上記のような市民生活への影響も含め、ロヒンギャへの冷淡さ、敵視だけでは、ミャンマー全体への深刻な悪影響が生じかねないことを、ミャンマー国民に理解してもらうことも必要だろう。
私見としては、伝統的なロヒンギャの居住エリアにおいて、明らかに代々定着して居住してきた者には国籍を付与し、そこまでに至ると認められない者にも状況に応じて弾力的、柔軟に市民権を付与して、地域の安定を図るべきだろう。国籍付与に国民の理解が得られにくければ、とりあえず市民権を付与する手もある。例えば国連の監視団を受け入れ、軍や警察による人権侵害をなくすことも必要。世界的にも援助の手を差し伸べ、人や金を投入すべきだろう。
この問題を、アジアの深刻な不安定要素へと拡大させてはならない。