物語 ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで (中公新書)

 

先日、ちょっとミャンマーを訪問していて、ミャンマー(旧ビルマ)の歴史を手軽に読んでおきたいと思い、これを読んで見ました。新書ながら中身が濃くて「手軽に」は読めませんでしたが、とても参考になる内容でした。

同書では、王朝期から英国統治期、日本の支援を受け英国を排除した独立(日本の傀儡政権でしたが)を経て戦後に再び英国統治に戻った後の独立、相互の軍政期、民主化された現在へと、丹念に歴史を叙述しています。ミャンマー多民族国家としての性格や、現在のロヒンギャ問題の背景など、丁寧に説明されていて、今後、ミャンマーについて考える上での、私にとっての基本文献になると感じました。

現在のミャンマーを考える上で、2008年成立の現行憲法が、軍へのシビリアンコントロールが効かない体制になっており、そこがアウンサンスーチー女史にとって、常に足枷、制約になることを見逃せないと、読んで感じました。軍政が終わり民主化されたとはいえ、軍の影響力は社会の隅々にまで及んでいるようで、そういう意味での真の民主化が、今後、どこまで進むかを注目する必要があるでしょう。

本書が出たのは2014年で、その後については同じ著者の

飛び立つミャンマー 根本敬・上智大学教授の「ビルマ考現学」

飛び立つミャンマー 根本敬・上智大学教授の「ビルマ考現学」

 

 が、出版時期が新しく参考になりそうだったので、アマゾンで注文しておきました。これも引き続き読んでおきます。