なぜ?同意ない性行為に続く「無罪」判決 「故意立証」の高いハードル…刑事司法の限界、指摘も

なぜ?同意ない性行為に続く「無罪」判決 「故意立証」の高いハードル…刑事司法の限界、指摘も(西日本新聞) - Yahoo!ニュース

刑法38条には、過失犯の規定がある場合を除き「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」とある

 刑法は、責任主義に立脚し、責任ないところに刑罰はないというのが基本原則です。そして、責任を問う場合に「故意責任」が原則とされ(上記の刑法38条)、犯罪事実を認識しながら、規範の問題に直面しながら、敢えてそれを乗り越えて犯罪に及ぶ、反規範的な側面にこそ、重い責任を問う根拠があるという考え方に立脚しています。過失犯が処罰されるのは例外となります。

ただ、故意、過失の間には、無限に続く様々な局面があります。故意は厳密に認定されますが、故意が認定できないとされた、そこにも、刑罰をもって臨むべきものがあることが少なくないでしょう。複雑化した社会において、知りませんでした、わかりませんでしたではすまない、故意に接着した重過失的な部分も、犯罪としてきちんと処罰しないと、特に被害者が現に存在する事件では被害者が救済されず堪え難い不正義な事態が出現してしまいます。

その意味で、故意犯だけが処罰されている犯罪にあっても、故意に接着する重過失も処罰対象に取り込むような、刑罰法令の適正な改正が、今後、検討、実現されるべきでしょう。性犯罪、特に強制性交罪でも、諸外国の立法例にあるように、重過失的な形態も処罰に取り込むような改正が、今後、現実的に検討、実現される必要があると思います。