(時時刻刻)日産と検察、二人三脚の捜査 司法取引、綿密準備し迅速に

(時時刻刻)日産と検察、二人三脚の捜査 司法取引、綿密準備し迅速に:朝日新聞デジタル

計4回の逮捕で、日産自動車カルロス・ゴーン前会長による「会社の私物化」に迫った東京地検特捜部司法取引で結ばれた日産との関係は、事実上の「合同捜査」ともいうべきものだった。両者が一体化した捜査に対して、裏付けの客観性を危ぶむ見方もある。

 一連の捜査が、日産の強い協力とともに行われてきたことが報じられていて、多分、そうなのだろうと思わせる記事ですね(鵜呑みにはできませんが)。

捜査で、捜査機関に有利な証拠を集めるのは当然のことですが、そういう「点」を拾うだけで、不利な証拠を見ることを怠っていては、将来、公判で大きく足をすくわれる危険性が出てきます。点だけで見るのではなく、点が点在する「面」を大きく見ることで、点と点の間にある、立証上、問題のある別の点も見えてきて、そういうところも含み置いた全体としての強固、強靭な立証ができる状態に持っていくのが捜査の理想でしょう。

私自身、30年くらいの間、様々な事件を見てきましたが、無罪になる事件というのは、そういう捜査がどこか不十分であることが多い印象があります。

特捜部型の従来の捜査が供述偏重と批判されてきて、それは確かにそうなのですが、供述以外の証拠だけでは点でしかないものを、面で見る上で、供述というものは実に参考になるのも事実で、知能犯捜査で供述が重視されるのは、そういうところに原因があります。

司法取引で重要な証人から核心的な供述が取れた、重要な証拠が提出された、被害者側の協力で様々な検察有利な証拠も収集できた、これで立証は万全だ、ではなかなか済まないのが捜査、公判の難しいところで、そうした点と点の間にある、捜査機関に見えていないものが、将来、公判で大きく問題となってくる可能性はあるでしょう。どこまで点と点の間も見て、面的な捜査になっているかどうか、今後の公判で問われることになります。有罪、無罪と軽々には論じられない難しい事件だと思います。