全米を揺るがせたジマーマン無罪判決の意味

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130716-00010000-newsweek-int

事件は午後7時過ぎに、フードをかぶって歩いていたマーティン君に対して、ジマーマンがおそらくは「コイツは怪しい」と思った、あるいは自警ボランティアの「職務に忠実であろうとした」ために、マーティンに対して「つきまとい」的な行動をしたようです。
そのジマーマンの行動をおそらくは不快に思ったマーティン君と、ジマーマンはやがて「取っ組み合いのケンカ」に至り、ジマーマンは武装していなかったマーティン君を射殺してしまいました。こうした事件の場合には、フロリダ州では「正当防衛法(スタンド・オン・ユア・グラウンド・ロー)」が適用されます。
これは、ケンカがエスカレートしないように回避の努力をしたとか、自分に身の危険が迫っているという客観的な理由があるといった正当防衛の認定要件「なし」で撃ってしまっても起訴どころか逮捕もされないというものです。

被害者が未成年の黒人であった、ということで、無罪という評決に、人種差別ではないかという反発が広がっているようですが、日本でも、客観的に正当防衛できる状況ではないのにそういう状況にあると信じて反撃行為に及んだ場合、「誤想防衛」として、故意犯としての刑事責任が問われない、ということはあり得ます。ただ、米国と法制が異なる日本では、そのような場合であっても、誤信したことに過失(重過失)があれば(重)過失致死罪、(重)過失致傷罪といった犯罪が成立し刑事責任が問われる可能性が出てきます。また、反撃が、誤想した侵害に対するものとして過剰であった、という場合には、誤想過剰防衛として故意犯としての責任が生じると考えられていますから、日本のほうが、こういった状況に関する選択肢が多い分、きめ細かく刑事責任を検討できると言えるかもしれません。
相手が死亡している場合、加害者側が正当防衛を主張すれば、相手方からの事情聴取ができない分、目撃者がいなければ加害者側の言い分に沿った事実認定をせざるを得ないことが少なくありません。上記のジマーマン事件でも、おそらくそうした事情が作用はしたのでしょう。事実認定の難しさということも感じさせられます。
人種問題を背景に、刑事裁判における事実認定、評決結果が、こうした深刻な問題に発展しやすい米国社会の難しさ、抱えるものの重さということを、改めて感じさせられます。