日本版「司法取引」初の合意、賄賂提供を了承か

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180715-00050013-yom-soci

同社側と特捜部は、日本版「司法取引」(協議・合意制度)に合意。先月スタートした新制度が適用される初のケースとなる見通しで、特捜部は、合意に基づき同社が捜査に全面協力する見返りに法人としての同社の起訴を見送る一方、贈賄に関与した個人の刑事責任追及に向けて捜査している。

日本版司法取引制度(協議・合意制度)の成立に当たっては、組織犯罪において、下位者の刑事責任を軽減、免除して上位者の責任を追及する場面が強く想定されてきましたが、このように、会社が所属する個人を「売り飛ばして」逃げ切るタイプもあるのだということが明確になりましたね。最初に持ってきたのが、こういう、日本の美風(と言われているもの)の真逆に来るものであったことには、あまり芳しくないものを感じる人も多いでしょう。
ただ、この制度は、あくまで、検察官が立証上プラスだと考えて行うものであることが当然の前提で、会社としては巨額の罰金を払いたくない、特捜部としてはあくまで個人の責任は追及して立件、起訴して実績を残したいと考え、そこにメリットがあると「特捜部が」考える以上、こういう、常識的に首をかしげるような司法取引が起きることもあります。そこがこの制度の冷徹なところであり、取引というものが持つ、倫理、道徳、一般の人が素朴に持つ公平感、正義感とは別の論理が働くこともあるということでもあるでしょう。
悪が、あまねく等しく処罰されるのではなく、巧妙に立ち回ったものが取引して逃げる、そういう取引を利用しながら捜査機関が目的を達成しようとする、そういう世界の醜悪さ、冷徹さが、いきなり最初から出てしまったという印象を受けます。売り飛ばされた役員、社員らの今後は、会社が面倒をみるからと因果を含めているのでしょうけど、なんだか哀れさが漂います。