映画「ミッドウェイ 」(海戦75周年アニバーサリー特別版)

2017年はミッドウェイ海戦75周年、ということで、それに合わせた発売されたものを、昨年末に鑑賞しました。
私は迂闊にも知らなかったのですが、このパッケージの中に入っているTBS放映版には、ミッドウェイ海戦に先立つ珊瑚海海戦のシーンが40分余り登場します。これは実に貴重です。珊瑚海海戦の結果、日本海軍の空母翔鶴、瑞鶴はミッドウェイ海戦に参加できなくなりました。この2隻が参加していれば、海戦の帰趨に影響を与えたかもしれない、というのは諸書で指摘されています。また、米海軍は、珊瑚海海戦で大きく損傷した空母ヨークタウンを、数ヶ月かかる修理を数日で応急修理して、ミッドウェイ海戦に出撃させていて、米軍のダメージコントロール能力の高さが印象的です。こういう経緯は、やはり珊瑚海海戦も描くことで、より明確になってきます。
日本海軍が、ミッドウェイ島攻略か米海軍機動部隊撃滅か、作戦目的が明確でなく右往左往するのに対し、米海軍は、ニミッツ提督指揮下、真珠湾攻撃後の劣勢をはね返すため日本海軍機動部隊を迎え撃つという明確な作戦目的の下で動きます。攻略目標がミッドウェイ島であることを暗号解読によりいち早く察知し、日本海軍機動部隊をいち早く発見して、先手を打って次々と攻撃機を発進させ果敢に攻撃し、多くの犠牲を出しながら、絶好の勝機を見出して、空母4隻を沈没させ、決定的な勝利を得るに至ります。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言いますが、ミッドウェイでの勝利後、ニミッツ提督は、我々はなぜ勝てたのだろうかと、しみじみと述懐します。勝利のためには何が必要か、何が勝利をもたらすかを考えさせられました。
見逃せないと思ったのは、主演のガース大佐(チャールトン・ヘストン)の息子の婚約者が日系アメリカ人で、ハワイで強制収容され、ガース大佐が、周囲の反対を押し切り解放のため尽力する姿でした。アメリカ人にとって触れたくないところを敢えて描くところに、アメリカ建国200年記念という、この映画の位置付け、意気込みが伝わってくるものがありました。
ヘンリー・フォンダ演じるニミッツ提督が、ニミッツ提督の人格的な雰囲気が出ていて実に良く、リーダーシップとは何か、何が人をリードするのかということについても考えさせられるものがありました。
実写フィルムが多く使われ、登場シーンに史実的には誤りが多いと指摘される作品ですが、そういった弱点を超えるものがあることを改めて感じました。何度も観た映画ですが、何度観ても学ぶことがあると感じつつ、昨年が終わりました。