現金授受問題 ルール次第で「賭博にあたる」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160316-00000092-san-soci

甲南大法科大学院園田寿教授(刑法)によると、賭博罪は(1)結果を制御できない事象を対象に金銭をやり取りする(2)双方が損をする可能性を共有する−ことが条件という。
試合の勝ち負けを対象にして、勝てば円陣の選手たちが声出しの選手に現金を支払い、負けると声出しの選手が円陣の選手に支払うルールになっている場合、賭博の2つの条件に合致するとみる。

正にその通りですね。
昨日、フジテレビでの取材の際にも言ったのですが、かつて、ゲーム機賭博というのがあって、喫茶店などでテレビゲーム(インベーダーゲームなど)を金を賭けさせて客にさせるというケースが多くあって、それは店側と客側の賭博と構成して立件していました。店側と客側が、「ゲーム」という偶然に左右される物事に対して金を賭け勝ったほうが取り負けたほうが取られる賭博をしている、という構造で、これに、今回の巨人などの件はかなり似ています。
野球の勝ち負け(偶然に左右されます)を対象に、「声出し役」と「その他の選手」が金を賭け、勝てば声出し役が取り、負ければその他の選手が取る(声出し役は金を失う)という構造は、賭博罪の成立要件に、きれいにあてはまります。賭博罪成立上、わざと勝つとか負けるとか、そういうことは要件になっておらず、野球の勝負は一生懸命勝つことを目指してプレーしても偶然に左右されて勝ったり負けたりするものですから、それに金を賭け得失を争えば(特に意識して「争う」つもりがなくても、やっていることが争う性質を持っていれば賭博罪成立上は十分です)賭博罪でしょう。
これは「ご祝儀」だったという弁解も出ているようですが、ご祝儀というのは、例えば合格おめでとうとか、そういったことで一方が他方に一方通行で金品を差し上げるもので、合格したら差し上げるが不合格だったら頂戴ね、というのは「ご祝儀」とは言わないでしょう。
園田先生が指摘されているように、どういうルールになっているかをよく見る必要がありますが、「勝てば円陣の選手たちが声出しの選手に現金を支払い、負けると声出しの選手が円陣の選手に支払うルールになっていた」のであれば、賭博罪に該当する可能性がかなり高く、そういう事情の下で、それを賭博罪にはあたらないとする理屈はなかなか見出しにくいと思います。