闇カジノ賭博 メダル候補の賭博「想定外」 バドミントン界に衝撃

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160407-00000532-san-soci

リオデジャネイロ五輪のメダル候補と言われてきた選手らが、違法な闇カジノ店で賭博をしていたことが発覚した。7日早朝に緊急帰国したバドミントンの新旧エースは無言のまま空港を後にし、所属先のNTT東日本の事情聴取で賭博行為を認めた。

昨夜、午前零時過ぎに、フジテレビの「特ダネ」スタッフから電話がかかってきて、この件を知らされて電話でコメントが欲しいとのことだったので、すぐに対応し、今朝の同番組でそれが出ていました。
「刑事事件」という観点で補足すると、こういった賭博事件では、警察が、情報に基づき内偵捜査を進め、捜索差押許可状や身体検査令状などを裁判所から得た上で「営業中」に踏み込んで、店側の関係者や賭客を現行犯逮捕して、という経過をたどるのが一般的です。そこを捉えて、賭博事件は現行犯でしか立件されない、と言われることもありますが、間違いではないものの、「そういうケースがほとんど」ということであって、非現行の賭博事件が立件されることもまったくないわけではありません。実際、私自身、ある地検にいた際に、非現行で立件された賭博事件を捜査して関係者を起訴したことがありました。
ただ、現行犯逮捕した場合は、その場に証拠品が多数あり賭客も確保でき言い逃れしようがない状態が捜査側として把握できますから、立証しやすいのに対し、非現行の場合、関係者の供述を取りながら積み重ねる立証にならざるを得ず、その場に誰がいたかとか、いても実際に賭博行為に及んでいたかどうかなど(その場にいたかどうかはっきりしないとか、その場にはいたが見ていただけで賭けていないといった弁解が非現行のケースではどうしても出やすくなります)、捜査に手間がかかります。田舎で事件が少ないような警察、検察庁では、そういうものを手間暇かけてやれても、警視庁のような大都会の警察では多数の事件に追われる中でそういう手間暇をかけて、というのはやれないしやらないというのが実情でしょう。その意味では、賭博事件は現行犯でしか立件されない、というのは当たっているとも言えます。
今後、問題のバドミントン選手らが刑事で立件までされる可能性は相当低いと思いますが、立件されて最高でも50万円の罰金(単純賭博罪の場合)に処せられるよりも、オリンピックに出ればメダルが狙えたのに出場できないほうが、制裁としての深刻さがはるかに大きいだろうと思います。
刑事で立件されないとしても、この種の闇カジノ店は、何らかの形で暴力団とつながりその資金源となっているもので(そういうつながりを持たずに素人が勝手に闇カジノ店を営むことは闇社会の掟としてできないものです)、そういった場に繰り返し出入りして賭博行為に及んでいたということになれば、オリンピックどころではなく厳しい非難は免れないでしょう。