龍馬史

龍馬史 (文春文庫)

龍馬史 (文春文庫)

昨日もコメントしましたが、その後、未読のところを読んで読了しました。いろいろと考えるところ、感じるところがありましたね。
江戸時代の土佐には、武士階級に上士と郷士があり、その間には大きな差別があって、坂本龍馬郷士出身ですが、あれだけの傑物が出てきた背景には、長年、虐げられてきた郷士の中で育まれてきた敵愾心や上昇志向(良い意味での)といったことが、やはり大きかったのでないか、ということを感じました。著者は、裕福に生まれ育った坂本龍馬が、江戸留学中に、藩屋敷の中で身分制度に即した処遇を受け劣悪な環境の中で生活したことの影響が大きかったのではないか、と推測していますが、これには大きくうなずけるものを感じました。
最近、世界的にも日本でも、組織に属しない、フリーランスの占める地位が徐々に大きくなっている面がありますが、土佐藩を脱藩した坂本龍馬は、土佐藩と強いつながりを持ちつつも、薩摩、長州等の諸藩や様々な人々とのつながりをもちつつ、一種のフリーランス的な存在として活躍していて、フリーランスの先駆者という位置づけもできるように思われました。人々の間で、坂本龍馬の⑦人気が根強いのも、そうした、組織に縛られない、自由に活躍する姿に、夢や希望が見出せるからなのでしょう。
坂本龍馬の生涯、その在り方は、今後も、多くの人々に対して、夢や希望とともに、目標を持ちそれに沿って生きているかと問いかける、そういう存在であり続けるような気がします。