<市販薬>ネット販売容認 国側の敗訴確定 最高裁判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130111-00000045-mai-soci

09年の薬事法改正で、市販薬は副作用リスクの高い順に1〜3類に分類された。改正法にネット販売についての規定はないが、厚労省は副作用被害防止のため対面販売を原則とし、省令で風邪薬や頭痛薬などの1、2類のネット販売を規制した。法施行に当たって各省が定める省令では、法律の趣旨を超えた国民の権利の制限はできない。このため訴訟では、省令が改正薬事法の趣旨を超えた国民の権利制限に当たるかが争点となった。

最高裁判決は、2審の東京高裁判決を踏襲し、薬事法の解釈として、上記の記事にあるような「副作用被害防止のため対面販売を原則とし」とは解釈できないという判断を前提として、対面販売を前提とした省令は無効である、としたもので、ネット販売を積極的に容認した、というのとは、ちょっと違う気がします。積極的に容認したわけではなく、あくまで形式論で切っているので、薬事法の改正で対面販売を原則とすることを明示すれば良いだろう、といった、厚労省あたりの、逆切れ的?対応を招きつつもあるようです。
今後、行うべきは、そういった空疎な応酬ではなく、最高裁判決でも指摘されているような、ネット販売の制限が職業活動の自由を相当程度制約するものであり制限への反対論も根強い状態で現在に至っていることや、インターネットが普及する前から通信販売の手法が是認されてきていたといった歴史的経緯も踏まえ、これだけインターネットが広く普及し国民の利便性を高めているという現状も踏まえつつ、インターネットをできるだけ活用しつつ、その中で生じる弊害、リスク(危険性に関する情報伝達が対面販売に比べて不十分にならないか、薬品の濫用につながらないか等々)をいかに低減させるかも併せて検討し実行に移すことでしょう。対面→安全、非対面→危険と、教条的に考えるのではなく、薬局へ行っても常に薬剤師がいるわけではない現状や、ネットでも音声や画像を活用することで対面と大差ない意思疎通、情報提供が可能である(しかも安価に)という実状を十分考慮して、国民にとって使いやすい、バランスのとれた薬品提供、流通システムというものを構築すべきでしょう。
硬直化した、国民の利益にならない、従来の考え方にとらわれた政策は、見直しの必要があり、そこでこそ、国民の負託に応えた「政治」が、その役割を発揮すべきでしょう。