リーダーを目指す人の心得

リーダーを目指す人の心得

リーダーを目指す人の心得

著者は、米国軍人から国務長官まで上り詰めた、著名な人物ですが、この種の本は星の数ほどある中で、かなり傑出した内容であると、一通り読んで感じました。
こういった本は、理屈に走り過ぎていたり、古典を引用して独りよがりな解説をつけるだけで終わっていたり、自慢話のオンパレードだったりと、とかく、ろくなものがないものですが、本書では、著者の謙虚な人柄もあってか、成功、失敗の両面から、自らの体験や見聞きしたこと、考えてきたことなどを、凝縮して紹介していて、様々な教訓を読み取ることができます。一部に、この本の日本語訳に問題がある、という批判があるようですが、その点を割り引いても(原書を読んでいないので日本語訳の評価ができないのですが)、訳は読みやすく、原書の伝えようとしていることはかなり伝わっていると感じられるものがありました。より正確に内容を把握したい人は、原書を読みましょう。

It Worked for Me: In Life and Leadership

It Worked for Me: In Life and Leadership

著者は、最後に、「人」の重要性を強調していますが、私も、強く共感を覚えるものがありました。世の中を、あらゆる物事を、良くするも悪くするも、決め手は、ITや機器の良し悪し、といったことではなく(そういったことも重要ではありますが)、やはり人である、人こそすべて、ということを、この本を読み改めて肝に銘じました。
生き方や自ら、あるいは他者のリーダーシップに迷いを感じているような人は、この本を読んでみると、暗闇に一筋の光明を見るように、見えてくるものがあるかもしれません。