“逮捕はやむをえない”

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110303/k10014437381000.html

19歳の男子予備校生が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたことについて、元検事でインターネットを使った犯罪に詳しい落合洋司弁護士は「今回の事件は大学側の入試という業務を妨害したうえに、本来の業務ではない調査を行わせていることから、偽計業務妨害の罪にあたる」と指摘しました。また、少年を逮捕したことについては、「単純なカンニングと違って、インターネットを使って多くの人を巻き込んでおり、社会に与えた影響は大きい。投稿した手口や共犯者がいるかどうかなどの真相を明らかにするためには、逮捕はやむをえない」と述べました。さらに、今後の見通しについては、「少年なので、家庭裁判所で審判を受けることになる。重大な事件の場合、起訴されて通常の刑事裁判を受けることになるが、今回のケースはそれほど重大とまでは言えないのではないか」と話していました。

強制捜査というものは、やむを得ない場合にのみ行われるべきものであることは言うまでもありませんが、本件の場合、

1 逮捕前は、不正行為の具体的な手段・方法が明らかではなく、使用した携帯電話等につき証拠隠滅の恐れがあった
2 単独犯かどうかも、捜査してみなければわからず、共犯者がいる蓋然性もあって、その点でも罪証隠滅の恐れがあった
3 一時、被疑者が所在不明になっており、逃亡の恐れも認められた

といった事情があったと言えるのではないかと思います。他の大学での同種余罪が存在する可能性も指摘され、在宅捜査による真相解明は困難であったのではないか、というのが私の見方です。
ただ、捜査が進捗する中で、単独犯であることが明らかになり、真相解明が進むことで、身柄を拘束する必要性は徐々に低下して行く可能性が高いのも事実でしょう。不正を働かずに受験して合格した大学があれば、4月から通えるようにするという教育的配慮があってよく、3月中に捜査が終結できるよう、無駄のない、合理的かつ迅速な捜査が進められることを、強く望みたいと思っています。
先ほど、Jwaveの電話インタビューでも答えましたが、凶悪重大な事案ではなく、不正に合格するといった深刻な実害までは生じておらず、おそらく被疑者自身も深く反省していることと思われますから、家庭裁判所から、刑事処分相当として検察庁に逆送される可能性はかなり低く、処分としては、不処分、あるいは保護観察処分といったあたりになる可能性が高いでしょう。