【PC遠隔操作事件】処分保留で釈放、別件で再逮捕について弁護人が語る

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130303-00023718/

東京地検は3日、処分保留として釈放した。続いて、警視庁など4警察によるPC遠隔操作事件の合同捜査本部は、かつて大阪府警が誤認逮捕した2件について、偽計業務妨害ハイジャック防止法違反の疑いで再逮捕した。

同一の犯人によるものと考えられる複数の事件がある場合、そのうちの1つで逮捕、勾留し、それは処分保留にして、別の件で再逮捕(別件ですから厳密には「再」逮捕ではないのですが)、勾留の上で捜査を遂げ、双方の証拠を総合して起訴に持ち込む(持ち込めない場合もある)、という手法は、時々、とられることがあります。
ただ、遠隔操作事件の場合、複数の事件の証拠関係は、かなり重複している(したがって、再逮捕しても新たなものが出てくる可能性は低い)上、先月の逮捕前の内偵段階で、江の島の防犯カメラ画像によりかなり早期に被疑者自体は特定されて証拠収集が行われていることは確実ですから、現段階に至っても、なお処分保留、ということは、起訴するに足りるだけの証拠収集が遅々として進んでいない、ということにはなるでしょう。東京地検は、上級庁、法務省とも協議の上、これだけの重要事件ですから、起訴して有罪にするだけの確固たる証拠があれば、処分保留にはせず起訴に踏み切っているはずで、既に報じられている、被疑者の勤務先での「痕跡」(FBIによる解析によるもの、というものを含め)なるものが、証拠として強固な、被疑者と犯行を直接的に結びつけるものであることに、少なくとも検察当局が慎重な見方をしているものである、ということは推測されます。
上記の通り、再逮捕後に、新たな証拠が発見される可能性は低く、とりあえず時間は稼いだ、という状況の下で、既存の証拠をいかに整理、分析、評価し、検察当局が起訴に踏み切るという判断に至るのかどうか(至ることができなければ今月中に釈放になることは確実でしょう)が、今後の焦点になると思います。
起訴できなければ、特に、警察当局にとっては、「第2の敗北」になり得るもので、その捜査能力に、決定的、致命的な疑問符が世界的にもつけられることにつながるかもしれません。極めて重大な局面に差し掛かっている、と言えるでしょう。