明石砂浜陥没死事件上告審決定(人口の砂浜の管理等の業務に従事していた者につき砂浜での埋没事故発生の予見可能性が認められた事例)

最高裁第二小法廷平成21年12月7日決定ですが、判例時報2067号159頁以下に掲載されていました。
砂浜での陥没、死亡事故につき、1審判決が予見可能性を否定し無罪としたのに対し、2審は予見可能性を肯定し原判決を破棄して差し戻し、それに対する上告審決定(上告棄却)という流れになっています。
判例時報のコメントで紹介されているように、1審、2審とも、予見可能性について、結果発生に至る因果関係の基本的部分について予見可能であることが必要という考え方に立ちつつ、1審は、事故が発生したエリアは、陥没の予兆があった別のエリアとは異なり陥没の予兆がなかった等の理由から予見可能性を認めなかったのに対し、2審と上告審は、事故が発生したエリアを含む砂浜全体を一体として考え、陥没の予見可能性を肯定していて、法律解釈に目新しいものがあるわけではありませんが、予見可能性に関する事実認定の違いに興味深いものがあります。最高裁決定には、今井裁判官の反対意見(1審判決と同様のもの)が付されていて、それだけ微妙な面があったということがうかがわれ、今後、予見可能性というものを考える上で参考になる事例となる可能性が高そうです。

追記:

コメントのご指摘により誤記を訂正しました。ありがとうございます。