「日航・松尾ファイルー日本航空はジャンボ機墜落事故の加害者なのかー」

 

本書は、日航ジャンボ機墜落事故当時の日本航空の技術担当取締役(その前の尻餅事故の修理にも関与)が残していたファイルに依拠しつつ、同自己を振り返るもので、日本航空の視点で

書かれた本は、私が知る限り読んだことがなかったので、なかなか興味深く通読しました。

読んで感じたのは、事故の責任は修理ミスを犯したボーイング社修理担当者にあったことは間違いありませんが、日本航空関係者も修理には密接に関与し、その後の点検も繰り返していたもので、修理ミス後の兆候を点検ミスで見逃したという嫌疑がかかること自体はやむを得なかったのではないかということでした。当時の社会の雰囲気も覚えていますが、国民の日本航空に対する目にも厳しいものがあり、捜査の当初から被疑者にせず刑事責任を不問に付すことができるような状態にあったとは思われません。ただ、本書で紹介されている群馬県警の取調べは、とにかく自白が取れれば良いという強引すぎるもので、今も昔も取調べには進歩がないものだと感じるものがありました。

日航ジャンボ機墜落事故に関するドキュメンタリーに新たに加わるもので、一読に値するものであると思います。