警視庁:出会い求める携帯書き込み、「ミクシィ」に削除要求

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090403ddm041040106000c.html

少年育成課によると、ミクシィモバゲータウンを運営するディー・エヌ・エー▽グリー▽大集合NEOを運営するオープンドアなど6社のサイトに「デート希望」などの書き込みがあり、今年2〜3月に削除を要請した。6社の会員は計約4000万人にのぼるとされる。
昨年12月に改正出会い系サイト規制法が施行され、出会い系サイトの運営事業者には警察への届け出が義務付けられた。6社から届け出はなかったが、実際に書き込みがあったため、削除を要請した。少年育成課によると、ミクシィは約330のサイト内グループを削除した。

改正法の内容は、警察庁による

http://www.npa.go.jp/cyber/deai/law/index.html

が参考になりますが、上記の6社は、いずれも、「インターネット異性紹介事業」は営んでいないという判断の下に、届出を行っていなかったものと思われます。どういった場合が、「インターネット異性紹介事業」に該当するかは、警察庁によるガイドライン

http://www.npa.go.jp/cyber/deai/business/images/01.pdf

が参考になりますが、問題は、サイト全体の運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していなくても、SNSのようなサービスでは、人と人とのつながりが求められる中で、利用者が異性交際も希望する、ということは、当然、出てきますから、どういったサイト運営を行えば「インターネット異性紹介事業」に該当してしまうか、その線引をどこで行うか、ということでしょう。警察庁によるガイドラインでも、「個々の利用者(書き込み者及び閲覧者)が実際にどのような意図をもってそのサイトを利用しているかにはかかわりません。」とされていて、例えば、ミクシィ利用規約上、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090318#1237385169

でコメントしたように、「面識のない異性との性交、わいせつな行為、出会いなどを主な目的として利用する行為」が禁止され「主な」という言葉が使われているのも、そのあたりの事情を意識しているものと推測されます。
そうすると、上記のような目的が「主な」ものだったかどうかということが問題になりますが、個々の利用者の内心の問題をいちいち確認することはできない以上、外形を基準にして判断するしかないものと思われ、例えば、上記の記事中にあるミクシィで削除されたという約330のサイト内グループ(おそらく、コミュニティではないかと思われます)の「すべて」が、本当に、そういった目的を「主に」持ち外形的にもそのことが認定できるものであったか、ということについては、疑問を感じます。既に削除されてしまった以上、検証する術もありませんが。
今後も、警察当局が、改正法をちらつかせつつ、特に届出を行っていないサイト運営者に対し、こういった圧力をかけてくる可能性は非常に高く、サイト運営者としては、何をもって「インターネット異性紹介事業」に該当するかについて曖昧さがつきまとうだけに、今後も厳しく苦しい運営を余儀なくされる状況が続くでしょう。
なぜ、人と人との出会いというものに対してそこまで目くじらが立てられなければならないのか、こういった立法の必要性、合理性といったことについて、素朴な疑問を感じる人も少なくないでしょう。
結局、日本というのは、自由、民主ということが唱えられながらも(自由民主党という政党もありますが)、実際は不自由で非民主的な、インターネットも自由に使えない、運営できない警察国家、ということなのかもしれません。