警察庁有識者会議:ネット管理者が通信遮断を 匿名悪用で

http://mainichi.jp/select/news/20130418k0000e040232000c.html

パソコン(PC)の遠隔操作事件を受け、発信元の特定を困難にする匿名化システム「Tor(トーア)」を悪用した犯罪対策を検討していた警察庁有識者会議は18日、サイト管理者の判断で通信を遮断することが抑止に効果があるとする報告書をまとめた。警察庁は提言を踏まえ、インターネット接続事業者の業界などに自主的な取り組みを促す。

報告書は「国内外で犯罪に使われている状況に鑑みると対策が必要」と指摘。具体策として、同システムが経由地に使うパソコンのうち、最後の3台目に割り当てられたIPアドレスの一覧が公開されている点に着目。このIPアドレスからアクセスがあった場合、通信を遮断するようにすれば犯罪抑止に一定の効果があると提言した。

インターネットが犯罪に使われるべきではなく対策が必要であることは明らかですが、では、何をやってもよいか、というと、そういうわけでもない、ということでしょうね。犯罪を撲滅するために国家全体が警察の厳重な管理下に置かれる警察国家になって良いはずがない、ということと、基本的には同じことです。
児童ポルノ等の、明らかに違法性があるコンテンツであれば、辛うじて遮断の根拠にはなると思いますが、こうした匿名性を高めた通信であるからといって、ではすべて何らかの犯罪に関わるものかというと、そういう決めつけはできないはずです。人権が抑圧された独裁国家から救済を求めるメールが送られてくるなど、犯罪以外の様々な可能性が容易に考えられるでしょう。Torを使った情報発信に間抜けな警察が引っ掛かる、ということだけが起きるわけではありません。
インターネットが幅広く利用され円滑に通信が行われるためには、プロバイダが、通信を選別したりせず、あまねく、広く情報を流通させることが不可欠であり、そういったインターネットの本質を根本的に減殺してしまうだけの必要性、不可欠性が、上記のような匿名通信の遮断にあるかといえば、それはない、と言うべきでしょう。
どこの「有識」者が、こういうことを提言しているのか知りませんが、警察の提灯持ちや露払いに堕するのもいい加減にしておかないと、せっかくの「有識」(何の有識か知りませんが)が世界的な物笑いの種になりかねません(こんなものを出してくるようでは、そうなったほうが良いような気もしますが)。