露鵬と白露山 精密検査も大麻陽性

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000121-san-soci

検査機関の三菱化学メディエンスから5日夜に相撲協会に通知された。

三菱化学メディエンスは、世界反ドーピング機関(WADA)から認定を受けている国内では唯一の専門機関。

これだけの騒ぎになっている以上、相当慎重に検査は行われたと思われますから、検査機関の能力も高く、検査結果は信用できると見て良いでしょうね。
私は、一応、麻薬係検事の経験もあり今でも薬物事件は受任することもあって、それなりに資料は持っているのですが、その中にある「薬物事件執務提要(改訂版)」(最高裁判所事務総局刑事局監修)60ページによると、大麻THC)について、

喫煙等により摂取されたTHCは、体内でほとんど完全に代謝を受けて数多くの代謝物に変換され、未変化体としてはほとんど排泄されない。摂取後5日間で投与量の90%以上が排泄されるが、主な排泄経路は糞で、約65%が糞中に排泄され、残り25%が尿中に排泄される。

とされています。そして、尿中から検出される代謝物(THC-COOH、化学式は複雑でここでは書けません)について、上記の資料(60ページ)では、

大麻摂取の証明は、尿中のTHC-COOH1を検出することにより行うが、その尿中濃度は、最大で数百ng/ml(8〜10時間後)、通常数十〜数ng/mlのレベルと非常に少なく、高感度分析法が要求される。また、車や狭い室内で、まわりの人が大麻を喫煙していると、その煙を受動的に吸い込み、本人は喫煙していなくても尿中から微量のTHC-COOHが検出されることがあることが知られており、尿中のTHC-COOH濃度まで測定し、尿検査によって検出されたTHC代謝物が能動喫煙によるのか、受動喫煙によるのかの判断の目安としている。

とあるので、上記の力士についても、尿中の代謝物の濃度により、本人の意思に基づく摂取行為によるものかが、ある程度判断できるのではないか、と思います。
ただ、受動喫煙によるのではないか、と推測されたとしても、大麻受動喫煙するような場所に身を置いていた、ということにはなりますから、日本の国技である相撲の力士として今後も活動を続けて行くべきか、ということについては、当然、問題にはなるでしょう。また、そういった力士を指導監督していた親方にいても、指導監督責任ということは必然的に問題になります(既になっていますが)。
なお、上記の資料によると(61ページの表)、THC-COOHの尿中からの検出期間は3日から5日で、乱用者では25日頃まで検出された例がある、とされています。

追記:

大相撲大麻疑惑 2力士とも陽性 協会は8日に臨時理事会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000030-maip-soci

によると、

大麻を本人が吸わなくとも、吸っている第三者と同じ部屋にいた場合にも副流煙で「陽性反応」が出るとの指摘について、ある協会関係者は「(今回の検査結果は)過去のデータと比べても、副流煙とは思えない数値が出ている」と証言した。

とあって、事件的に言うと、かなり「クロ」である、ということにはなりそうですね。