「靴みがきの少年」

少し前になりますが、今年の1月18日の日経朝刊1面「あすへの話題」で、防衛大学校校長の五百旗頭真氏が、ジョージ・アリヨシ元ハワイ州知事が、進駐軍の将校として昭和20年暮れに東京で経験したエピソードを、アリヨシ氏から聞いた話として紹介していました。
アリヨシ氏が、有楽町付近で、寒い中、一生懸命靴をみがいてくれた小柄な7歳の少年を気に入り、進駐軍の食堂へ連れて行き、白いパンにバターとジャムをたっぷり塗ったものをプレゼントしたところ、少年は恐縮しながら食べずにしまい込み、なぜ食べないのかとたずねると、家にいる3歳の妹に食べさせてやりたい旨答えた、ということで、感銘を受けたアリヨシ氏は、焦土と化した日本ではあるがその精神は滅んではいない、片隅の少年があれほど立派に振舞えるのだ、日本はこれで終わらない、必ず蘇ると確信した、ということでした。
その後の日本は見事な復興を遂げましたが、第二の敗戦とも言えるバブル崩壊を経て、今の日本が、果たして再び蘇ることができるのか、記事を読んだ後、私は時々考えてみるのですが、明るい展望はなかなか見えてきません。