http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080103-00000010-mai-soci
関係者によると、県警科学捜査研究室(科捜研)は事件発覚直後、被害者の一人で縫製会社勤務の女性工員(当時37歳)の胸部に付いた唾液(だえき)からA型の血液型を検出。下半身に付着した体液は当初、O型とされた。捜査本部は女性工員と交際中で、血液型がA型の元運転手を4日連続で事情聴取するとともに、被害者周辺にO型の男性がいないかについても大がかりに捜査を進めた。
しかし、同年10月に元運転手が覚せい剤取締法違反で逮捕・起訴され、起訴後の「任意」(のちに裁判所が違法捜査と認定)の取り調べで3人殺害について追及したところ、計65通の「上申書」で「自供」。この直後、県警はO型とされた体液について、外部の鑑定医に付着時期の鑑定を依頼し、事件当日ではなく約1日前に付着したとの鑑定結果を得た。
こうしたことから検察側は、女性工員が事件当日にO型の男と接触していれば元運転手の「自供」と食い違いが生じるため、捜査本部がつじつまを合わせようと付着時期の鑑定に「細工」をしたと判断。控訴審の際、福岡高検を中心に鑑定のやり直しを検討したものの、裁判所から証拠として認められないとの意見が出て、実施は見送られたという。
そもそも、体液等の「付着時期」の鑑定が可能なのか?ということが疑問ですね。鑑定の余地が仮にあるとしても、気温や天候等により大きく左右されるようにも思われ、「約1日前に付着した」などと鑑定することがそもそも可能であったのか、という疑問を強く感じます。
どういう鑑定でも同様であると思いますが、鑑定の中身をしっかりと見るだけでなく、鑑定受託者の立場も、十分吟味する必要があります。頼まれれば、頼んできた側の意に沿うように、偽札作りが偽札を作るように、でたらめな鑑定書を書く、という人はかなりいるもので、十分注意を要するものです。上記の「外部の鑑定医」がどのような経緯で鑑定書を書いたかはわかりませんが、検察庁に「細工」と判断されたくらいですから、かなり怪しげな鑑定であったことは間違いないでしょう。
客観証拠、鑑定の評価で失敗してがたがたに崩れてしまった事件は数多くあり(草加事件など)、可塑性のある若手検事は、こういった失敗例からよく学んでおくべきだと思います。
草加事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8D%89%E5%8A%A0%E4%BA%8B%E4%BB%B6