女児術後死亡記事訴訟…共同の責任否定、地方紙に損賠命令

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070918i415.htm?from=navr

判決は、二つの記事について「原告が基本的なミスを犯して患者死亡という結果を引き起こした事実を報じたもの」と認定、「捜査本部の見方などを示したもの」とする共同通信の主張を退け、いずれの記事も真実と認めなかった。しかし、共同通信には、当時の警察当局の記者会見や東京女子医大の報告書などの取材結果から、「事故の原因が原告にあると誤信する理由があった」として、賠償責任はないと判断した。
一方、地方紙3紙について、判決は最高裁判例を踏襲し、「定評のある通信社からの配信を受けたことだけを理由に、記事が真実と信じる理由があったとはいえない」と指摘。さらに、共同通信の定款施行細則で、配信記事には配信元の表示(クレジット)を付けると規定されているのに、3紙がそのクレジットを付けず自社が執筆した記事のような形で掲載していることを踏まえ、地方紙の賠償責任まで否定できないとした。

「配信サービスの抗弁」について、日本の最高裁は、今のところこれを肯定していませんが、配信側(本件では共同通信)について、上記のように真実と誤信する相当な理由があった、という認定がされた場合に、配信を受けた側も、一種の「抗弁の援用」ができる、という限度では、少なくとも認めておかないと、上記のように、配信した側は免責されるのに、配信を受けた側は免責されない、という、何とも奇妙なことが起きてしまうと思います(この種の抗弁は、各被告ごとに検討する以上、当然だ、と言ってしまえばそれまでですが)。
この点は、今後、予想される上訴審の中で十分検討される必要があると思います。