年金横領 徹底した調査と処分を

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2007090502046458.html

公金の横領は金額の多少にかかわらず公表するのが筋だが、多くが隠蔽されてきたことも問題だ。
社保庁の場合、五十件の横領のうち今回初めて公表した十八件を含め、これまでに自発的に公表したのは二十四件で、残りは報道機関の取材などで明らかになったケースだ。
五十件のうち、刑事告発したのは二十七件にとどまり、十五件は警察に相談することもなく告発を見送った。四十四件が懲戒免職・停職処分になったが、そのほかは処分前退職や行方不明で処分を免れた。被害弁済もすべて済んでいない。
これだけみても、社保庁がいかに内部の犯行に甘く、お互いにかばい合ってきたかを表している。

刑事訴訟法上、公務員には、把握した犯罪について告発義務がありますが、実務上は訓示規定として運用されているので、告発しないことが、即、違法とまでは言えないでしょう。
しかし、この種の不祥事が起きた場合、真相を解明するとともに徹底して被害弁償を求め、全額の弁償やその確実な見込みがなければ刑事告発する、というのは、当然のことであり、それをしないというのは怠慢です。怠慢というだけでなく、一種の犯人隠避行為とすら言えるかもしれません。
既に刑事、民事の時効が成立しているものも少なくない可能性がありますが、徹底した真相解明、被害金の回収、関係者の責任追及が急務でしょう。