司法修習当時の思い出

担当している刑事事件で、被告人が、周囲の様々な人々に支えられ応援されている、ということで、被告人と話をしていて、私自身の司法修習生当時のことを思い出しました。
検察修習中に、無銭飲食の詐欺事件を割り当てられ、勾留中に家族(確か遠方に住む実兄だったような記憶です)から被害弁償金が送られてきて被害弁償はされたものの、被疑者が実に態度の悪い人物で、反省している様子もなく、無銭飲食の前科も多数あることから、起訴すべきではないかと私が考え、いろいろと資料を作成し、刑事部長の了承を得て、次席検事のところへ行ったところ、この種の事件では何度も繰り返すうちに愛想を尽かされ誰も被害弁償に協力してくれなくなるものだが、この被疑者にはまだ被害弁償してくれる人がいた、そういう状態ではまだ見所があるのではないか、起訴するのはどうか、と意見を言われ、結局、指導担当検事とも再度検討の上、起訴せず起訴猶予にした、ということがありました。当時の私はまだ若く(大学を卒業したばかり)、人の見方が全然わかっていない状態で、人を見る際にこういう見方があるのだな、と、かなり新鮮で勉強になったことが今でも思い出されます。
担当している事件の被告人には、その話をして、支えて応援してくれている人がいるのは、迷惑がかかっていても見所があると見捨てずにいてくれているわけだから、謙虚に感謝して、今後、お詫びができるようになったらお詫びし何かで返せる状態になったら一生懸命返すようにしてください、と言っておきました。