検察官、飲酒運転不起訴の際に示談勧める 判断に批判

http://www.asahi.com/national/update/0719/SEB201007190111.html

福岡市東区の飲酒ひき逃げ事件で、福岡地検の担当検察官が、危険運転致傷容疑などで逮捕された男を嫌疑不十分で不起訴にする際、被害者と示談するよう男に勧めていたことが、関係者への取材でわかった。容疑が濃いと判断しながら起訴しなかったことになり、福岡県警だけでなく地検内部からも当時の地検の捜査と不起訴判断に不満や批判の声が出ている。

この事件の担当検察官は不起訴処分直後に別の部署に異動している。県警や地検内部からは「示談を勧めるというのは犯人ということを前提とした話。それで嫌疑不十分というのはおかしい」「異動を控えていたため、捜査に力を入れなかったのではないか」との指摘も出ている。

検察官の基本的な姿勢としては、刑事と民事は別物であり民事(被害弁償、示談等)には介入しない、関わらない、ということになるでしょうね。ただ、刑事政策的な観点から、そういった措置を講じれば被疑者にとっても被害者にとっても有利な方向で事が運ぶ、といった場合に、1つの可能性として示唆的なことを言うことがまったくないわけではなく、それで望ましい方向へ進むこともあるでしょう。
ただ、記事にある事件の場合、危険運転致傷という、法定刑もかなり重い犯罪が問題になっていて、否認事件でもあったということですから、そもそも検察官が自ら示談について触れたり勧める、といった状況にあったとは思われず、かえって、被害者等の不信を招く恐れがあって(実際、そのようなまずい状況になっているようですが)、示談を勧めるような言動があったとすれば、適切なものであったとは考えにくいと思います。
こういった一般事件にもきちんと対応できないようでは、国民の検察庁に対する不信感がますます強まる可能性が高いでしょう。