刑の重さ、市民十色 同じ事件の模擬裁判で無期〜16年

http://www.asahi.com/national/update/0806/TKY200708060006.html

20歳で住所不定、無職の男が、所持金がわずかになってタクシー運転手をナイフで刺して死なせ、現金約8700円を奪う。

実際の各地の判決は求刑通りの無期懲役から懲役16年まで幅が出た。最多は懲役20年で5地裁。うち3地裁は裁判官3人、裁判員6人とも全員一致で懲役20年を選んだ。全員一致で無期懲役とした地裁もあった。

モデルとなった事件は01年に判決があり懲役15年で確定した。その後の刑法改正で最高刑が引き上げられるなどしたため、プロの裁判官が現時点で判断すると懲役20年前後になるとみられる。

日本の刑事実体法の特徴の1つとして、法定刑に幅があることはよく指摘されます。幅があるから、裁判所の直感、フィーリング、感情等で決めて良いか、ということになると、やはり、それではまずく、対象となる犯罪の内容や犯した犯人等に関する一切の事情を考慮し、同様の事情があるケースには同様の刑が科される、ということが行われないと、不公平な事態が生じてしまいます。
従来は、検察官の求刑決定の段階で、過去の類似ケースも参考にされ求刑が決定され、それに対して弁護人が被告人に有利な情状を縷々指摘し、最終的に裁判所が、被告人に有利、不利な諸事情一切を考慮し、過去の類似ケースも精査して量刑を決めていたわけですが、こういったプロセスの中に裁判員が加わった場合に、はたして物事が好転するのか、あるいは悪い方向へ進んでしまうのかが懸念されるところです。
市民の素朴な感覚を生かし反映させることは望ましいことですが、やはり、過去の具体的な量刑事情を参照しないと、裁判員としても判断がつきかねると思われますから、押しつけ、一定の方向への誘導にならないように注意しつつ、裁判員が適切な量刑資料に接することができる態勢作りが急務ではないか、と思います。

追記:

私が海外へ行っている間に、

裁判員に量刑目安資料 最高裁、データベースで提供
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007080502038645.html

と報道されていました。
「裁判官が参考にしているものよりも大まかなデータにとどめる方針。」とありますが、何もないよりは、これでもあったほうが、かなり参考になるでしょう。