栃木・容疑者自殺:弁護士は自殺の意思把握 県警に伝えず

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070808k0000m040152000c.html

町村教授のブログ経由で知りました。

弁護士は「死ぬ、死なないは人間の究極の尊厳。本人意思を尊重した」として県警に伝えなかったという。

私が弁護人ならどうするか、を考えましたが、おそらく、留置担当者に対し、被疑者本人の言っていることはそのまま伝えないものの、それとなく注意を促し自殺を防止するように動くと思います。
確かに、人には自己決定権というものがあり、死ぬ、死なないということも自己決定権の中に含まれる、という考え方もあり得ますが、生命の尊重ということは何よりも優先し、その点に関する自己決定権は制約される、という考え方も十分成り立つと思います。刑法も、自殺は犯罪としていませんが、自殺に関与することは犯罪としていて、この点も参考になると思います。
ただ、そのような動きを弁護人がすることで、被疑者、被告人との信頼関係が失われる可能性がありますが、自殺を防止しないことで失われる信頼関係、というものに、どれほど価値があるか疑問であり、そもそも自殺してしまえば信頼関係を結ぶべき相手がいなくなってしまうわけですから、やはり、そこを理由にするのはおかしいように思います。
また、秘密交通という点も問題にはなると思いますが、上記のような観点から、そこを理由にするのはおかしいのではないか、と思います。
上記のような弁護人の行為が、即、弁護士倫理に違反するとまでは言えないと思いますが、別の方法があったのではないか、という気がします。