堀江被告公判:前社長のブログ指摘し、検察側が執念の反論

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20061122k0000m040157000c.html

堀江前社長の粉飾指示を巡っては、前財務担当取締役、宮内亮治被告(39)=分離公判中=が「堀江から『やりきるしかない』と言われた」と証言。しかし、前社長は前々回14日の公判で「そもそも『やりきる』という言葉は使わない。50億死守、とか熟語を使う」と反論していた。
これに対し、検察側はこの日、前社長が04年6月に自らのブログに「やりきるしかない」と書いた表現があると指摘。前社長はあっさり「はい」と認めながらも「でも、ほかにありました?」と検察官に逆質問。「私が2文字熟語を使うのはとっさの時。ブログのようにじっくり文章を考える時は、適切な表現を使います」と弁明した。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061115#1163545599

でコメントした件ですが、そういった表現を「使わない」と言っていた前言を翻していますから、ここは検察官が点を稼いだと言えるでしょう。
被告人質問で、一般的に注意すべきなのは、「否定しすぎない」ということです。否認事件では、どうしても、特に被告人は、あれも否定したい、これも否定したい、という気持ちが強く働くものですが、否定しすぎると、検察官に矛盾点などを突かれて、供述の信用性が大きく減殺される場合があります。不利な点であっても、認めざるを得ない点は潔く認めつつ、重要なところは、きっちりと否定したり説明することで、信用性を確保することが肝心です。言いたいことを言い放しで言えばよい、というわけではないのが、被告人質問の難しいところです。
それとは別に、気になったのは、

ライブドア公判>堀江前社長と検察官が激高、裁判長が制止
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061121-00000051-mai-soci

ですね。

前社長は「メールを示して下さいよ。そうしないと説明しづらいでしょ」と切り返した。検察官が「ここはあなたの要求を入れる場じゃない」と一蹴すると、前社長はメールの内容を早口で明かした上で「そこまでちゃんと示してよ」と述べ、検察官は「覚えてるじゃないか」と激怒。前社長が「昨日開示されてるんだから、覚えてるに決まってるじゃん」と応酬したところで、裁判長はやり取りを制止し、休廷に入った。

といったやり取りがあったようですが、公益を代表する訴追官である公判立会検事が、感情に流された訴訟活動をすることは、厳に慎むべきでしょう。
検察庁には、根深い公判軽視体質があり、優秀な人材は、特捜部を中心とする捜査部門中心にキャリアを積むことが多く、優秀と言われながらも、意外なほど公判立会経験が乏しい検事がいるのが実情です。もしかしたら、上記の検事も、そういった「優秀な」検事なのかもしれません。