元高裁判事、酒気帯び運転で懲戒処分 区検は略式起訴

http://www.asahi.com/national/update/1117/TKY200611170377.html

玉越元訟務部長は10月27日午後6時ごろ、名古屋市内の庁舎内の食堂であった懇親会や、同市内の居酒屋でビールを飲み、出勤に使った原付きバイクで走行。飲酒検問中の警察官に検挙された。呼気1リットル中0.2ミリグラムのアルコールが検出されたとされる。

「原付きバイク」というのが、妙に生活感があり、もの悲しさを感じます。正真正銘故意犯であり、その立場の重さを考えると、安易に略式で処理せず、公判請求して懲役刑を求刑するということも、十分あり得た事案であったと思います。
裁判所から法務局に出向していたということになると思いますが、辞職した形跡がない、ということは、ほとぼりがさめるのを見計らって裁判所に戻り、どこかの高裁あたりで、また、偉そうな顔でもして裁判官でも務めるつもりでいるのでしょうか。
「玉越義雄」という名前を、この事件とともに、しっかりと覚えておいたほうがよさそうですね。

追記1:

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061118/mng_____sya_____013.shtml

元部長は同日午後六時ごろから、庁舎内であった懇親会でビール大瓶一本を飲み、さらに同市中区の居酒屋での二次会でコップに少量のビールを飲んだという。
その後、電車で自宅に向かい、バイクを止めてあった最寄り駅の赤池駅で下車。約二キロの自宅までの途上、最初の約七百メートルはバイクを引いて歩いたが、上り坂になったためバイクに乗った、としている。約七百メートル走ったところで、検問が行われていた。検挙されたことを上司に翌日報告した。「飲んだ量が多くないし二時間ほどたっていたので、つい乗ってしまった」と話しているという。

知らない人も多いと思いますが、これ位のキャリアの裁判官(出向中を含む)になると、年収は2000万円を軽く超えています。駅から2キロ程度の自宅に帰るのに、なぜタクシーに乗る程度のことができなかったのか、疑問です。タクシー代をけちるような貧乏な人ではないはずですが。
「庁舎内の懇親会」といったものは、予定されているものであり、予め飲酒することがわかっている以上、バイクは自宅に置いてくる、という程度のことはしておくべきでしょう。この程度のことは、私のようなしがない弁護士でもわかりますから、「前高裁判事」「法務局訟務部長」という立派な方が、わからないはずがないと思います。
これだけ飲酒運転に対する社会的非難が高まり、日本全国で徹底した取り締まりが行われている中で、自らの立場もわきまえることなくこういった事件を起こし(空気が全然読めていない、ということにもなります)、しかも、「飲んだ量が多くないし二時間ほどたっていたので、つい乗ってしまった」といった、幼稚な弁解しかできないところに、情けなさを感じます。

追記2:

私なら、検挙された日の翌日に、所属庁に対し検挙の事実を報告するとともに、辞表を提出するでしょう。事件があったのは金曜日で、最も早く辞表が出せるのは10月30日月曜日であったということになりそうですが、そこで出していれば、公表された11月17日までには退職できたのではないかと思います。
こういう、つまらない事件を起こす人間は、出処進退も未練がましい、という印象を強く受けますね。年収が2000万円を超え、勤め上げれば退職後も70歳まで公証人ができ年収数千万円が約束されるという、恵まれた環境を捨てたくない、いつも馬鹿にしている弁護士などにはなりたくない、という気持ちもわからないではありませんが、そんなことを言っていられる状況ではないでしょう。

追記3:

10月27日夜に事件が発生し、1か月も経過しない11月17日に略式処理、という、あまりにも「迅速すぎる」処理にも、疑問を感じますね。警察や検察庁は、何かにつけて、事件が多くて処理がなかなかできない、とか、順番に処理しているから、などと、つべこべ言い訳しますが、その気になれば、このように極めて迅速な処理ができるということでしょう。「その気になれば」ですが。
迅速な処理は結構なことですが、必要な捜査はきちんと行われたのでしょうか。この元訟務部長殿の場合、自宅から駅までバイクで行き、そこにバイクを置いて出勤、という方法をとっていたということになります。2004年4月から、その職にあったということで、2年余りの間に、私的なものはともかく、公的な会合で酒を伴うものは、それなりの数あったでしょう。今回の事件で、「懇親会」が、予定されていたものであればそれを承知でバイクで出勤し、予定されていなかったものであっても、バイクを駅から出して帰宅しようとしていたものであり、この人は、酒を飲んでも駅にバイクを置いているのが常態で、それを、少なくとも駅には置かずに帰宅する習慣があった可能性が高い、ということは言えるでしょう。
そうであれば、飲酒運転の常習性の有無、程度を解明するために、少なくとも法務局訟務部長着任後の、
1 出席の裏付けが取れる公的な会合(酒を伴う)を網羅的に抽出し
2 その際の帰宅方法について調べ
3 バイクに乗って帰宅していないかどうかを、被疑者取り調べも行いつつ解明する
という方法で、捜査を行うのが筋というものです。
このような捜査が、1か月にも満たない間に、きちんと行われたとは到底考えられません。なぜ行わないのか、疑問を感じるのは、おそらく私だけではないでしょう。常習性を解明し公判請求するなどとんでもない、早く略式で処理して事件を風化させたい、という意図が働いたのではないかと勘ぐられても仕方がないと思います。