刑変更でも判決破棄せず 最高裁「見直す余地ない」

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101101000865.html

窃盗罪の刑は今年五月施行の改正刑法で「10年以下の懲役」に「50万円以下の罰金」が加えられた。また刑訴法は1審判決後、刑の変更があった場合、その判決を破棄しなければならないと規定している。

決定理由で那須裁判長は「窃盗罪の刑の変更はあったが、懲役刑の刑期は同じ。法改正の目的は罰金刑の選択を可能にして比較的軽い事件に適正な刑を科すことにあり、これまで懲役刑が科されてきた事件に広く影響を与えることを意図していない」と指摘し、判決破棄の必要性を否定した。
6月の2審東京高裁判決も「形式的には刑の変更だが、1審判決を破棄するのは、その判決への影響が明らかな場合に限るべきだ」として控訴を棄却していた。

なぜ判決の破棄にここまでこだわるか、と言うと、刑事訴訟法の規定で、破棄の場合は未決勾留日数が法定算入されて、それだけ被告人に有利だからでしょう。
上記の高裁判決は、判例誌に出ていたので読みましたが、今回の最高裁決定で指摘されている、上記のような実質的理由を踏まえており、妥当な判断ではないかと思っていました。
高裁係属の刑事事件に与える影響は大きく、最高裁の判断が示されてほっとしている高裁裁判官、高検検事も多いでしょう。