高等裁判所の判決中の判断がその上告審である最高裁判所の決定において否定された場合における高等裁判所判決の刑訴法405条3号の「判例」該当性

最高裁第三小法廷平成22年3月16日決定で、判例時報2079号161頁に掲載されていました。
判例時報のコメントによると、この問題の基準時について、

原判決時説
上告審裁判時説

が対立しているとのことですが、過去の最高裁判例で、控訴審判決時に既に存在する高裁判例に違反すると主張したが控訴審判決後にされた別事件の最高裁判例により当該高裁判例が変更された場合に関し、原判決時説を採用したものがあるものの(最大判昭和30・12・21)、本件のように未確定の高裁判例が後に最高裁により否定された場合や、控訴審判決時に既に存在する高裁判例に違反すると主張したが当該高裁判例が上告審において破棄された場合は、30年判例の射程外で、上告審裁判時を基準に考えるべき、ということになるようです。
刑訴法405条3号の「判例」とは何か、ということを考えさせられる判例と言えるでしょう。

追記:

判例時報2145号182頁(判例評論640号36頁)