証人威迫で弁護士逮捕 恐喝事件の被害者に圧力

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101101000232.html

容疑者は2004年4月ごろ、別の恐喝事件で逮捕され、広島南署に拘置中だった元広島県解体工事業協会会長の解体業の男性に接見。守屋被告の恐喝事件への関与を供述しないよう迫った疑い。

記事の中でも触れられていますが、一つの問題として、この弁護士が、刑事訴訟法上の「弁護人となろうとする者」として接見したかどうか、ということがあるでしょう。
暴力団関係事件の捜査をいろいろとやっていた経験で言うと、弁護人となろうとする者ではないのに、逮捕・勾留中の被疑者・被告人に、「伝言役」として接見に来る弁護士、というのはいるものです。接見禁止中の場合、弁護士以外とは接見ができませんから、弁護士が、いわゆる「ハト」として接見するわけです。本来なら接見できないはずですが、警察の留置担当者も、そこまでチェックしきれず、被疑者・被告人も、話は聞きたがる面があるので、会ってしまっているという例が多いのが実態でしょう。そういった行為が問題になり、弁護士会で懲戒処分を受けた、という例が、最近、ありました。
また、上記の記事にあるような行為が、「証人威迫」に該当するかどうか、そもそも、弁護士によるこのような行為に事件性があるかどうか、ということも、微妙な面があるでしょう。接見すること自体が許されるのか、という問題はともかく、弁護士が、依頼を受けて交渉する中で、こうしてほしい、あるいは、こういったことはやめてほしい、ということを言うことはよくあり、もちろん、「威迫」といったことは許されませんが、多少強めに言ったり説得したり、といったこともよくあります。一種の「正当業務行為」といった場合もあるはずで、どこまでが適法でどこからが違法か、については、弁護活動の保障、という観点からも、慎重な検討、見極めが必要でしょう。
個人的な興味としては、暴力団絡みの事件で、上記のような「迫る」程度の行為は掃いて捨てるほどあり、捜査機関が事件化することは、まず、ない中で、なぜ、敢えてこの件が立件され弁護士逮捕という事態にまで至ったのか、その背景を知りたい、という気が強くします。