弁護の組員無罪にしようと証拠隠滅、弁護士に実刑判決

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090429-OYS1T00244.htm

被告を無罪にするため、東京の男性2人を脅して「(犯行は)私たちのやったこと」という虚偽の書面を書かせ、同9月に同地裁に提出した。

詐欺グループの一員として逮捕された別の男性の弁護を担当した同11月、警視庁麹町署の接見室で、「供述したい」と申し出た男性に完全黙秘を強要。仕切り板をたたいて「『知らない』と言えばいいんだ」などと脅した。

麹町警察署の接見室での件については、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071010#1191948143

とコメントしたことがあります。
弁護士になると、他の弁護士の刑事弁護活動について見聞きする機会はあまりなくなりますが、検察庁にいると、いろいろな弁護士の活動が見えてくる面があって、中には、正当な弁護権行使を逸脱しているのではないかというものもあったことが思い出されます。その多くは、暴力団絡みの犯罪に関わるものであるという特徴もあると思います。
この種の事件は、立件までされる例は多くはないという傾向がありますが、虚偽証拠の作出という形態では、弁護士自身も利用され犯意がない、あるいは認定しにくい場合が多く、また、接見時の言動が問題となる類型では、相手(被疑者、被告人)供述の信用性裏付けが難しく水かけ論的な証拠関係になってしまう恐れがあるといったことが、立件を慎重にさせているという事情はあるでしょう。
そういった微妙さがつきまとうだけに、立件、起訴しても、

接見の弁護士、無罪=脅されたとの供述、信用できず−広島地裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070724#1185208810

といったことも起きてくることがあり、この種の事件の難しさということが感じられます。
上記の宮崎の事件の真相はよくわかりませんが、上級審において、この種の事件の微妙さ、難しさを十分意識した慎重な審理が求められるのは確かでしょう。その中で、有罪か無罪かだけでなく、正当な弁護活動とそうではないものの限界、といったことについても、裁判所が先例となるような判断を示すことも期待されているのではないかと思います。