法律を学び初めて間がない人の勉強方法

以前から、このブログで少し述べたこともあると思いますが、初めて法律を学び始め、1年とかその程度しかたっていない時期は、非常に優秀であったり法律への適性が非常にあるといった、ごく少数の人を除いて、結構辛いものがあるものです。法律書を読んでも、理解が困難で、右から左へ、左から右へと抜けて行く感じがして、身についているという感覚がほとんどなく、次第に嫌になってきます。ここで、かなりの人が勉強をやめてしまう、というのが実態でしょう。
そういった人々には、できるだけ判例に目を通したり(判旨の部分だけでなく具体的な事実関係の部分も読んでみて、どういった事実が重視されているのか、等を見る)、事例問題が出ている本を参考書にしたり、過去の司法試験や答案練習会で出題された事例問題を検討する、といった勉強をしながら、自分が持っている基本書を、問題意識を持ちつつ読んでみる、という勉強方法をお勧めしたいと思います。
知識が身についていないと無理ですが、ある程度身についてきたら、問題を見て、10分とか15分程度でよいので、自分なりに論点整理、各論点について自分ならどう論じるかを考えてみて、その上で解説を読んでみる、ということをすると、なお良いでしょう。そういった作業をこつこつと続けることで、次第に、論点抽出力とか分析力、思考力、といったものが身についてくると思います。逆に、そういった勉強をせずに、持っている本をお経のように読んでいても、あまり力はつかないでしょう。
そういった意味で、適切な指導者(司法試験合格者以上が望ましい)がついたうえでのゼミ、というものは、うまく機能すれば非常に大きな効果が期待できますが、適切な指導者を得るのはなかなか難しく、あまり手間暇をかけないことを前提に、勉強仲間だけで自主ゼミを行う、ということも、それなりの効果は期待できるのではないかと思います。
上記のような勉強を行い、次第に「身についてきた」という実感が強くなってきたら、過去の司法試験(論文)で出た問題や、答案練習会で出された中の良問(悪問もあるので注意)について、時間を決めて答案を書いてみる、ということも、論述力養成のため、是非やってみてもらいたいと思います。

追記:

目指す試験に早期に合格するためには、「不得意科目を作らないこと」「出題される科目すべてについて、大きく上回らなくてもよいので合格レベルに達すること」「見たことがない、何だかよくわからない問題が出ても自分の頭で考えて、そこそこの答案が書けるようにしておくこと」が肝要だと思います。非常によく勉強しているのに、なかなか合格できない、という人の話を聞くと、特定の科目が非常に不得意で、そこが不合格の原因になっているとか、見たことがない、何だかよくわからない問題が出ると、がっくりきてしまい、ほとんど見るべきものが書けずに自爆する、といった傾向がよく見受けられます。自分がよくわからない問題は、他人も同様である場合が多く、「おそらく、こういうことを聞かれているのだろう」と推理しながら、自分なりに解答する、ということで、致命傷にならずに済むということもあるようです。
法律の勉強(他の分野も似たようなものだと思いますが)が進んでくると、特定の科目(よくあるのは刑法とか)について、非常に強い興味を持ち、そこに集中してものすごく勉強してしまう、ということが起きがちです。しかし、これは、試験に早期に合格するという観点からは得策ではありません。そういったことに使う労力があれば、他の科目を満遍なく勉強するほうへ振り向けて、自分の興味に沿った勉強は、試験に合格した後にやるとか、研究者を目指して一生をかけて徹底的にやる、といった方法で行うべきでしょう。こういったところで、失敗(試験の早期合格、という点においてですが)するケースも多いので、注意が必要です。