私が司法試験に合格するまで(その3)

大学3年生の時に、初の択一試験で合格して、うれしい反面、まったくの準備不足で困惑したことは、前回述べたとおりです。
論文試験を受けても、合格できないことは目に見えていましたが、翌年以降を見据えて、一種の予行演習として受験しようと割り切り、択一合格直後から、来年を見据えた勉強をすることにしました。
それまでの私は、早稲田大学の法職課程を利用しながら、司法試験予備校は択一模試を利用する程度で他には利用せず、基本的に独学で勉強していました。しかし、そういった勉強では、苦手な科目や論点の勉強が進まなかったり、ペースが保てなかったりすると思い、大学3年生の6月からだったと思いますが、当時、LECの講師であった伊藤真先生の「憲法民法・刑法論文合格講座」というものを、ビデオで受講することにしました。当時は、まだ、ビデオ受講というのはあまり普及していなかったという記憶です。その講座は、毎週2回、各3時間で行っている講座をビデオ録画して、日曜日にまとめて見る、というもので、受講生が書き取った板書のコピーがつき、受講料もライブで聴くより安くて、日曜日にダラダラと過ごしがちだった私としては、時間が有効に使えると考えて、受講したという状態でした。
その講座は、翌年の3月ころまで続きましたが、予習復習は結構大変ではあったものの、講義にあわせて、予備校のテキストと、自分が使っている基本書を、きっちりと読んで理解する、ということが一通りでき、また、伊藤先生の講義もわかりやすく、非常に有益だったと思います。こういう経験があるので、私は、司法試験予備校は、使い方次第で有益だと思っており、予備校というだけで毛嫌いするような、一部の学者とか文部科学省的な見方には与しません。
大学3年時に受験した論文試験で、私は、刑事訴訟法、刑事政策(当時は両訴必須ではなく、法律選択科目の中で1科目選択でした)、社会政策(当時あった教養選択科目です)を選択しましたが、基本3法以外は、断片的にしか勉強していない状態で、論文試験は、文字通り、翌年以降の予行演習となりました。しかし、論文試験を実体験することができ、自分としては、大変参考になったという記憶があります。
論文試験の成績通知の内容は、記憶がやや曖昧ですが、憲法A、民法F、刑法C、商法F、刑事訴訟法C、刑事政策B、社会政策Gといったところで、総合でEあたりであったと思います。
成績通知を見て感じたのは、民法と商法が勉強が進んでおらず成績が良くない一方で、憲法、刑法、刑事訴訟法といった、何となく好きになっていた科目は、思ったよりも(といっても刑法や刑事訴訟法はC程度でしたが)成績が悪くなく、翌年に向けての勉強のポイントが、何となく見えてきたような気がしました。

(続く)