「不起訴不当」軽視しないで、検察審査会が異例の注文

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050922-00000101-yom-soci

伊藤鉄男・東京地検次席検事の話「検審に回答した通り、検察は法と証拠に基づいて捜査している」

伊藤次席検事の肩を持つわけではありませんが、検察庁が、検察審査会の議決を軽視しているということはないと思いますね。私も、以前、検察審査会が不起訴不当と議決した事件の再捜査を担当したことがありますが、その種の事件では、当初の主任検察官とは別の検察官が捜査を担当し、再度不起訴にする場合は高検へ報告して指揮を受けるなど、安易な捜査はできないような仕組みになっていました。私が再捜査した事件は、業務上過失致死事件でしたが、処分を見直し罰金刑になりました。
おそらく、問題は、検察庁検察審査会の議決を軽視しているかどうか、と言うよりも、検察審査会の議決と検察庁の最終判断が食い違った場合に、起訴へ持ち込む方法がない、ということだと思います。この点は、司法改革の中で、起訴相当という議決があった事件については、一定の要件の下で、検察庁による起訴がされなくても起訴できるということに今後なるようですから、一定の改善は行われることになるでしょう。
そして、そもそもの問題は、日本において起訴された事件の有罪率が著しく高く、「起訴」イコール「有罪」と言っても過言ではない状態で、それだけに起訴について慎重になるのは良いのですが、あまりにも慎重になりすぎて、起訴の上で裁判所の判断を仰ぐのが相当である(検察審査会が「起訴相当」「不起訴不当」と判断する事件は正にそういった事件でしょう)事件についても、起訴されず日の目を見ないままになってしまっているということではないかと思います。こういった構造的、根源的な問題についても、我々は今後とも考えて行く必要があります。