新任検事の頃

時々見に行く新任判事補のブログで、仕事上、何かと苦労している様子がうかがわれ、自分が新任検事の頃のことが思い出されることがある。
今でもあまり仕事ができるほうではないが、新任検事の頃は、思い出したくもないような苦い思い出が多く、そういうことに限って覚えているのが始末が悪い。
その後、徐々に仕事がこなせるようになって、何とか現在に至っているが、なぜ、やることなすことうまく行かなかったかと言えば、

1 一通りの法律知識はあるが、実務に即した知識ではないため、現実の事件処理等に生かせない
2 実務上、定着、確立している手続、書式、文章表現などが身に付いていないため、上司等から見て明らかに不十分としか見えない場合が多い
3 若くて未熟なため、いわゆる「報・連・相」(報告・連絡・相談)がうまく行えなかったり、仕事の段取りが悪く、手持ちの仕事がうまく処理できない上、周囲から見ていても危なっかしい

といったことが原因であったと思う。
いずれも、経験を積む中で、自分の頭で考えながら徐々に身につけることができたり、改善が可能なものと言えるが、やはり、人によって能力や適性には差があるので、早期に高いレベルに達する人もいれば(「仕事ができる人」)、なかなか向上しない人(「仕事ができない人」)もいる。
誰もがくぐる関門であり、トンネルの先が見えないだけに辛いものがあるが、最近、日本でも有用性が注目されている「メンター」を、裁判所だけでなく、検察庁弁護士会も含め、ある程度制度化する必要性があるのかもしれない。
私の場合、検事任官後、2年目から4年目の、力がつく時期に、地方の検察庁で、先輩検事からいろいろと指導を受けることができ(一種のメンターのような存在)、今思い出しても大変ありがたかった記憶がある。
そういう人が身近にいない場合は、愚痴を言ったり弱音を吐いたりしているだけでなく、積極的に探し出して指導を仰ぐ、という努力も必要であろう。